ロートレックの誕生日

19世紀末のパリ社交界を風刺したポスターと云えば・・・。
少年時代の怪我で下半身の成長が止まった不具なグラフィック・アーティスト。 「アンリ・ド・トゥールーズロートレック」アル中のため36才の若さで亡くなるが、パリが最も華やかな時代に生きている。
夜のモンマルトルの象徴、「ムーラン・ルージュ(夜になると点灯する赤い風車から名付けられた)」がオープンし、巨大なダンスホールと異国情緒豊かな出し物で、夜な夜なあらゆる階層のパリジャンが「娯楽」を楽しんだ時代であった。彼はそんな社会に生きた人々を独特の即興タッチで風刺し、ポスターを制作した。リトグラフにより「枚数」を稼いだためと、娯楽バブルの波に乗ったこともあり、時の寵児となった。しかし、この「夜とバブルの放蕩三昧な生活」のツケが次第に身体を蝕んでゆくことになる。
「19世紀末」のヨーロッパは、「様々な事件や珍事」が起きているが、彼自身もその中の一人に数えられるのかもしれない。(洋館や「客室」の壁に飾ると、空間を「セピア色」に染めてくれるいい作品です。
筒井康隆の「ロートレック荘事件」を読み返したくなりますね。