統一会堂

最終日午後。「ALLEZ BOO」というエスニックなカフェでバーガーランチを済ませ、バイクタクシーで「統一会堂」へ向かった。『バイクタクシー利用術』(12月9日記事参照)
ここは『サイゴン陥落』(4月30日記事参照)の舞台となった場所で、南ベトナム政府時代は「独立宮殿」と呼ばれた大統領官邸です。1975年4月30日、解放軍(北ベトナム軍と開放民族戦線)の戦車が、鉄柵を突破して無血入場を果たし、事実上ベトナム戦争終結した。このときの戦車(ソビエト製T-54,T-59)ももちろん展示されています。(ハノイの軍事博物館前のものより状態がよい)
この建物はいかにもな官庁建築ですが、三味線のバチのような意匠的なルーバーがファサードを覆っているため、その封建的な香りが隠され、美術品ともいえる手の入ったデザインとなっています。またその奥にある3枚連動のメカニカルな縦長の連窓も、「外面の良さ」として芸術性に貢献しているようです。内部は会議室や宴会室、応接室など大小100以上の部屋があり、上階は大統領とその家族のためのスペースで、夫人室、食堂、娯楽室、映画室など「呆れる程」の部屋があります。独裁的な悪政を繰り返した(日本の首相と同じ短期交代)「ベトナム共和国」の負の遺産とも云えるでしょうか。
地下室も公開され、当時極秘の軍事施設だった「遺跡」も見学できます。戦争に使われた司令室や、暗号解読室、アメリカとの通信に使った放送局などが「古いスパイ映画のセットのように」残されています。(ここは現ベトナムにとっては敵国だった訳です。また全室全くの地下室で、ボイラーの廃熱やガスが充満し、閉所嫌いには勧められない観光地でしょうか。1962年〜66年というベトナム戦争真っ只中に造られたもので、「国賓招待施設の姿をした軍事要塞」と云えそうです。しかし、この建物が「現役の用途」に使われたのは10年に満たなかったのです。
(BORN IN THE USAが聞きたくなりました。