日本の塔建築

といえば「五重塔」である。五重塔とは「仏舎利」を納めるための納骨堂で、墓標のような碑的な意味合いが強く、建築というより建造物といったほうがあたりがよい。五重というからに五階建てのようにも見えるが、建築的には「一階建て」である。(さすがに平屋とは言い難いが)「階」ではないのは、「床がない」からである。そもそも五重塔は組み手と屋根が鎧のように重なり、日本建築の美しい意匠性を備えているが、じつはこれ外壁という定義からは少し意味合いが違う。五重塔というのは「囲い」であり、「大事なものを覆うためのもの」でいわば「外殻」である。五重塔の主は「御柱」であり、そのご神体を囲うための小屋に過ぎない。いうまでもなく芯柱と囲いは別のものなので、「外壁」ではないのである。まして床がないので西洋の塔にように登れず、五重塔からの高さを感じることは出来ない。(これこそ建築でなない証でもある・・
(塔好き。改めて五重塔をハシゴしてみましょうかね。