飛鳥のガラスの靴

浦島太郎や羽衣伝説、鶴の恩返しなど日本列島には類似の民間伝承が多数分布するが、灰かぶり姫いわゆるシンデレラの昔語りが日本にもあることは知らなかった。
シンデレラは世界で一番有名な物語であるが、その起源は意外と明らかではない。グリム兄弟の「灰かぶり姫」は19世紀で存外新しい。これに先行してフランスの宮廷作家シャルル・ペローのシンデレラは17世紀(これにガラスの靴が登場する。ゆえに日本人の知るディズニーのシンデレラもこれを踏襲している)だが、まだ先行作がある。半世紀前にはイタリアのバジレという作家が「灰姫」を書いている。ゆえにこれが原作かと思えば驚くことさらに8世紀も前に、中国では唐の随筆集の中に「葉限」という物語があり、これに「このような娘」が登場してくる。しかも中国の清や宋の時代には、纏足といって娘の足を成長させない悪習があったことである。・・・これが「小さい靴に入る足」のルーツではないか・・・。日本にもグリム童話以前より東北地方にその伝承が分布していることから、はやり中国との交易時代からが考えらます。ゆえにこのタイトルは「あすか」ではなかったのです。
(桜井が特に好きな島田荘司氏の傑作の一つです。
事件内容が長引いたため、吉敷と通子のその後の記載を削られたのは残念ですが・・。