投下まで・・

空に映える入道雲。夕立も起こしそうにない暑い日差しが続く中、上空は強い風が吹いている・・。
朝、遥か高みの雲間には・・ゆっくりと黒い影が横切ったかのようだった。 「広島上空快晴。視界良好」。毎年この季節になると過ちの歴史を掘り起こすかの如くメディアは白黒画像を流し始める。酷暑の中なぜか嫌いではない世界とがリンクする。
伸びすぎた若枝が暑さをしのぐように揺れている。壁にかかるガネーシャは何処からか侵入する風で波打っている。黄昏の光りを帯びた室内は時刻を止めたように静かだった・・。
きれい過ぎる庭を見た。建物の中につくられた庭だ。やはり他人事のようになってしまった建築は、そこには見えてこなかった。借景としては見せたくなかったであろう隣家の古壁になぜか美しさを感じた。新しさに美しさを求めることの無意味さを改めて知る。全ては古さへと姿を変えて行くのだから・・。また一つ年を重ねるのか。
(・・あと二日。