耐震だけでは・・

現在建築基準法では、震度6の揺れに対して「倒壊しない程度」の建物強さを「耐震基準」としています。これは阪神淡路大震災の際、建物の倒壊による圧死が多かったからです。つまり国の基準では「初期震動(震度6)に耐えて生命だけは守れる強さ」は必要という訳ですが、直後に避難しないと倒壊の恐れがあるばかりか、修復程度ではすでに使い物にならない建物になってしまっている訳です。耐震とは建物を堅くして揺れに耐える構造ですが、最近の地震は余震が頻繁に続くため、初期震動に耐えるだけではままならないと云えそうです。かといって500年に一度の大地震に耐える程のガチにつくることは不経済この上ないですし、建物を地面と切り離して建てる「免震構造」も地盤の選択や、コストの面からもまだまだ一般的な住宅の解決策とは言い難いところです。そこで次に耳にするのが「制震構造」です。建物の揺れをダンパーなどで吸収し、揺れや建物の変形を小さくするもの。これは免震程揺れを感じなくすることは出来ませんが、建物への負荷は十分に抑えることは出来ます。現在、木造住宅用には住友ゴムのミライエ(MIRAIE)や、住友スリーエムジーバ(GVA)が住宅メーカーを問わず設置出来るシステムとして名を連ねています。耐力壁などに数か所配置するだけで揺れを最大70%削減できるそうです。(繰り返しの揺れに威力を発揮します。高減衰ゴムが地震エネルギーを熱エネルギーに変換するというもの・・
今後は基準法の耐力壁のみの耐震構造だけではなく、制震装置の併用を考えて行かなければならないと思います。
(このうちコストや性能のバランスでどちらが良いかは簡単には判断出来ないところですが・・。