徒然なるままに・・

今の精神状態がどうなのか分からないが、なぜか古典が読みたくなった。
徒然草とは吉田兼好のつぶやきをまとめたものだが、世を捨てたはずの兼好はなぜ世に物申し続けたのか。その抑えきれないつぶやきは、世間のしがらみを疎ましく思いながら、同時に人のぬくもりを求めていたようです。一人の人間が見つけ続けた人間賛歌は、時空を超え現代人の生き方を標榜していたのです。
その中で目にとまったのは第三十八段の「名利に使はれて、しづかなるいとまなく、一生を苦しむるこそ、愚かなれ。」です。訳すると「名誉や利益を追い求めることにあくせくして、閑(しず)かな時間もなく、一生苦しんで過ごすことは、愚かなことである。」・・と。
地位や名誉などに固執するということは、この世が全てと信じているからです。この世が終われば何もないと考えるからこそ生きているうちに位を上げたいと願ってしまう訳です。しかしいくら名利を手に入れても全てを手放して次の世へ移るのですから、次世界から顧みるとずいぶんとつまらぬことに時間を費やしたのではないかと理解することでしょう。当てにならない周りの評価ばかりを気にしていて、自分の思う人生が過ごせるでしょうか。人の欲望には限りがなく、いくら追い求めても満足は逃げてゆくばかりです。それより身の丈で生きること、足ることを自覚して、たまには留まることこそ人の生き方ではないか・・。と説いたのでしょうか。
(桜井も一つ悟れたのか・・