探偵ガリレオ

各章が「燃える」、「転写る(うつる)」、「壊死る(くさる)」、「爆ぜる(はぜる)」、「離脱る(ぬける)」と化学反応のようなタイトルが並びますが、この作品、物理学の教授が探偵役になり、奇怪な事件を解く連作ミステリーのシリーズ第一作で、タイトル通りの理系ミステリです。
各事件に共通するのは、通常環境下では起こりえない原因不明の現象が現れることで、これが殺人などの凶器になっています。しかし化学的反応によって起こされていますので、この凶器が見えてきません。この不可解な謎を実験によって証明してゆくところがこのシリーズの醍醐味でしょうか。
解説者(佐野史郎氏)も語っていますが、この事件は全てビジュアル的瞬間が備わっており、映像として見てみたいと思わせる作品でもあります。自然発火や放電による衝撃波、超音波による圧迫や化学反応爆発、化学変化による特異現象など、映像化すれば官能的とも云えるシーンを見ることが出来そうです。化学好きにオススメ。

探偵ガリレオ (文春文庫)

探偵ガリレオ (文春文庫)

(うちの研究棟にもそんな准教授がいたような・・