二重螺旋階段最終章2

そんなはずはない!
このような巨大施設が春季休業中とはいえ、全てが利用不可などということがあるはずはない。一部は仮キャンパスとして開校しているはずである。誰か人を探そう。写真を撮ることくらい出来るはずだ。再び正面側へ移動する。ん?!!!?キャンパス内を学生らしき人が歩いている!それも一人ではない。・・・。先程工事用の入り口付近に工事関係者らしき姿を一人確認していたが、入場不可的な空気が漂っていた。しかし再び戻ってみるとどうしたことか学生らしき姿が何人も行き来しているではないか。どういう・・・こと?やはり仮設開校していたのだろうが、先程はそんな空気は全くなかった。僕の落胆に心を痛めた神が世界を変えてしまったの如くである。工事用の入口から自由に入れるのだった。
他の学生からも特に不審な視線は頂かない。人の動きに沿って図書館棟のある方へ進んで行くと今度は風変りな階段が現れた。(これも興味深い螺旋的階段だった)それを下り、さらに足を進めると何のことはない。図書館棟へ辿り着いてしまった。!!!!!!これだ。
・・時間が止まりました。
思わず言葉が出ました。「来たよ」そこにあるのは夢にまで見た美しい二重螺旋階段だった。
とうとう来てしまいました。感無量とはこのことでしょうか。この棟自身は足場も架からず、工事対象ではなかったのです。不思議なことにそれまで荒廃した雰囲気の無人のキャンパスだったのがここだけは学生がたむろし、大学のあるべき風景がそこにはあったのです。塀の外の通用口付近からは見えなかっただけのようでした。それでもキツネに抓まれた気分で、無宗教でも神に感謝しました。己の往生際の悪さ天晴れです。ここに来る前に3つの教会を訪れたことが幸いしたのでしょうか。全くのどんでん返しに一日の疲れも飛んでしまいました。
(つづく